サラマンダーソロ

ライブの感想メモ。

摩天楼オペラ 2/25 名古屋ell.FITS ALL 「10th Anniversary PANTHEON TOUR -overture-」

バンド10周年の締めくくりを飾る東名阪ツアー。そして、悠さんのラストツアー。
前日の大阪は都合で遅れて行ったため、ステージもほとんど見えない状態だったので(それでもとても楽しかったです)、名古屋の思い出を残します。
心に残ったシーンや楽しいMCが本当にたくさんあったのですが、今回は”自分にとって最後に見る悠さん”だったことを念頭に置いて書きたいと思います。


わたしにとっては、ステージ上の悠さんを見られる最後の日。
そんな実感もないまま、ソールドアウト・満員状態で開演しました。
メンバー登場時にいつもより悠さんのことを呼んだけれど、力一杯な気迫あるドラミング、他の4人の歌や演奏も同様で、曲中はあまり悠さんのことを意識せず楽しんでいました。全力なメンバーにただただ釘づけ……苑さんの目力が凄かった。ついつい目を奪われて離せない存在感。
メンバーもいつも通り楽しそうに見えて(彩雨さんは真剣な表情をしているシーンが多かったようにも感じましたが)、自分も「BURNING SOUL」で叫んだり「瑠璃色で描く虹」「Adult Chirdlen」で跳ねたりして楽しかったです。
後半、MCで苑さんが悠さんのことに触れました。
「この4人で……この5人で、名古屋に来るのは今日が最後です。今日はもう、俺たちのことはいいです、悠のことをたくさん、呼んでやってください」
「ここ(ステージ上)は異世界だから。普通じゃないんだよ。普通に会社行って仕事してたら、こんなにたくさんの人に名前を呼んでもらえることは無いだろうし。普通じゃないからこそ苦しいんだけど、普通じゃないから楽しい。今日は悠にみんなのデカイ声を届けてください」
もう彼にはその機会が無いから、ということを、言葉を選びながらも精一杯に悠さんへの気持ちを込めて伝えようとする苑さんの姿は、話した言葉は、とても胸に響きました。
苑さんが誰よりも、"悠に良い景色を見せてあげたい"という気持ちが強いことと思います。
勿論わたしもそう思っているし、あの場にいた人のほとんどがそう思っていたでしょう。
苑さんのMCを受けての悠さんコールはめちゃくちゃ大きくて、なかなか止まなくて、もう燿さんと悠さんがびっくりして顔を見合わせて笑っちゃうくらいで、苑さんにも「予想以上です(笑)」と言われてしまい、思い切り悠さんを呼んだ後は笑顔になれました。
こんなに穏やかな雰囲気で、でも率直に、メンバーの脱退について話せるのはこのバンドの素敵なところです。そしてこのMCで、改めて"ああ悠さんはもう最後なんだ"と思ったけれど、曲が始まればやっぱり、しんみりとしてばかりではいられませんでした。
本編の最後「PANTHEON -PART2-」では、『ゴールだと今を決めつけてしまうには あまりに情熱を残してる』で泣きそうでしたが。

アンコールのMCでは、燿さんが悠さん専用(MC用)のマイクをマイクテスト込みで(笑)用意してくれ、悠さんもステージ前方に立って名古屋の思い出を話してくれました。
失敗談やアクシデントばかりが出てきてしまい、燿さんから「もっとハッピーな話はないの?!」とつっこまれたり、食事の話ではJaYさんに飛び火したりと、摩天楼オペラらしい自由で楽しいMCタイムでした。いっぱい笑わせてもらいました。
苑さんがメジャーデビュー時の思い出を話し(特典付きのボックス仕様が嬉しかったそうです)、アンコール一曲目は「もう一人の花嫁」、そして久々の「CAMEL」、最後に「GLORIA」。
「GLORIA」のギターソロ中に、苑さんと燿さんが揃って悠さんに向かってヘドバンしていたのですが、3人で作るトライアングルが、誰にも邪魔できない空間のようで、同じバンドで10年以上の年月を共にすることは、きっとわたしの経験では図り切れないものがあるのだと感じました。

アンコールも終わり、メンバーが退場するときになってようやく、ああわたしはもう悠さんを見られないのか、と思い始めていました。
ダブルアンコールを呼びながら、前日の大阪ではすくに入った終演のアナウンスが無いことに”もしかしたら、もしかしたら”と期待したタイミングで、悠さんが一人で出てきてくれました。
挨拶もそこそこに、悠さんがツーバスを踏み始めてドラムソロへ。
見ながら聴きながら、必死で全身に覚えようとしていました。
途中の、悠さんの「もう次は無いんだぞ!分かってんのか!もっとかかってこい!」には泣けました。
わたしはこの時に、ああもう次は無いんだ、今日が最後なんだと強く思わされて、ようやく、ここで初めて状況をちゃんと理解したのかもしれません。

次は無い。それを分かった状態で見るライブは、わたしにとっては初めてでした。
いろんなバンドのライブに行きますが、偶然にもこれまでその機会が無かったのです。
さみしさがこんなにも後からくるものだとは思っていませんでした。
ライブの最後の曲が「SHINE ON」で、わたしの大好きな曲で、メンバーの笑顔も見られて、楽しく歌えて、でも悠さんは最後で。
楽しいライブだったことは間違いありません。切なかったけれど、楽しい思い出でありたかった。
悠さんのドラムに物足りなさは特段感じられなかった、でも時たま辛そうで。
まじめに努力してきた人が、大好きで頑張っていたはずの人が、それなのに続けられないことを、正直とても悔しいと思うけれど、それはわたしの勝手な気持ちです。
ドラムソロでの「次は無いんだぞ」も、自分自身を奮い立たせてくれていたのかなとも感じて、懸命に演奏してくれたことを愛おしく思います。

悠さん、本当にありがとうございました。
悠さんの人生も、摩天楼オペラも、まだまだ先がある。
悠さんなら、ステージの上じゃなくても異世界じゃなくても、輝けると信じています。